ROKKAKU 技巧とデザインのクロニクル vol.2

▶︎高級感を追求した「古都葉シリーズ」

箔押しの表現の幅を拡げながら、さらに細やかな表現を極めていきます。そうして誕生したものが、プレミアムシリーズ『古都葉』です。伝統柄やワンポイントのモチーフを多色の箔で贅沢かつ精細に表現することで、これまでよりも高級感が際立つ商品となりました。
箔押し自体が高級感を備えた技法ですが、線の細さや抜きのサイズなど敢えて極限まで細かくすることで、箔押しによる凹凸やきらめきをより精細に捉えることができるデザインに。難易度の高い表現に取り組むことで、箔押しの表現の豊かさを一層突き詰めていきました。

▶︎誰かに贈るから自分で使うへ「箔御朱印帳」

多様なペーパーアイテムの開発を通して、技術とデザインを突き詰めてきましたが、立ち上げから100年を経てROKKAKUのさらなる発展に向けて、これまでになかった挑戦に取り組んでいきます。
その挑戦として生まれた『箔御朱印帳』は、従来のレターセットやはがきのような「誰かに贈る」ものではなく、「自分で使う」ペーパーアイテムとして考案しました。
御朱印めぐりがブームになりはじめた開発当時。各所でさまざまな御朱印帳が作られていましたが、全面箔のみで絵柄を仕上げた御朱印帳は珍しいことに着目し、これまで培ってきた技術を活かして多色箔の御朱印帳制作に取り掛かります。連続的な模様である文様を全面のデザインとすることで、シンプルながら細やかな箔の表現を楽しめる商品となりました。

ROKKAKUとしては初となる「自分で使う」商品の開発ということもあり、需要を確かめるべくクラウドファンディングを実施。結果、達成率は約150%にも上り、この御朱印帳をきっかけに普段使いができるステーショナリー商品の実現へとつながっていきました。

▶︎一年通して箔で彩る、シーズンモチーフの商品

「誰かに贈る」から「自分で使う」へ展開を広げるとともに、「誰かに贈る」ものの幅も広げるべく、従来のカードやはがきにおいても多様なシーンで使用できる商品を検討していきます。
これまでは誕生日やお正月、結婚式といった特別なシーンに贈るものが中心でしたが、箔押しがどんな場面にも寄り添えるよう、一年のあらゆる場面で使用できる商品を展開していきました。

『こよみはがき』は、こよみごとに移り変わる植物や動物の風景が箔押しされたはがきシリーズ。１月から１２月まで、それぞれの月にちなんだモチーフを描き、どんな季節の挨拶にも使える商品です。
こよみはがきは元々はがきとしての展開でしたが、１２ヶ月分の絵柄を日々楽しめるようにカレンダーとしてアップデート。季節の移ろいを箔とともに楽しめる、かつ自分でも使える商品として、元のデザインを活かしながら用途を広げていきました。

▶︎日常シーンやインテリアにも使用できるアイテム展開

こよみはがきのカレンダーや箔御朱印帳の開発は、箔押しが暮らしの中でも楽しめるものとして可能性を広げる大きなきっかけとなりました。
普段使いができる商品にすることで、箔押しをより身近に楽しんでもらえるものへ。そうした狙いで新たなシリーズ商品が誕生していきます。

『cafe teddy』は、これまでのようなカードやレターセットではなく、自分用に部屋に飾りたくなるようなインテリアアイテムとして生まれたシリーズです。ノートやマスキングテープ、ステッカーなど取り扱うステーショナリーの枠を広げ、より身近な場面で使用できるアイテムを展開。デザインも、箔をメインにするのではなく、絵柄が持つ世界観に箔を添えるようにすることで、日常の中に箔が馴染むような商品を目指しました。

金子みすゞの詩をデザインと箔押しで表現した『ROKKAKU × misuzu uta』は、詩の世界観を手に取って楽しめるコラボレーション商品です。箔を添えて絵柄に奥行きや立体感を施すことで、詩の世界に入り込むような感覚を表現。このシリーズも、栞やポチ袋、ノートなど展開を広く持つことで、誰かに贈ることも自分で楽しむこともできるラインナップとしました。

こうした商品は、ステーショナリーでありながらインテリアとしても楽しめる要素があり、文具ファン以外の層にも反響を呼びました。これをきっかけに、ステーショナリーだけでなくテーブルウェアなど、より日常生活の場面に寄り添った商品の検討へと進めています。

技術やデザインを試行錯誤しながら、箔押し自体の価値に向き合い続けてきたROKKAKUの歴史。
その中で、お祝いなどの特別な場面から日常のささやかな場面まで、人それぞれの大切な瞬間を彩ることを常に考えてきました。

「箔がつく」という言葉があるように、箔は高い値打ちや貫禄の意味が込められてきましたが、より身近な場面にも寄り添える存在になっています。これからも箔押しの可能性を切り拓きながら、さらに多くの彩りを届けられるように、ROKKAKUの挑戦はまだまだ続きます。