ROKKAKUブランドの歴史は、1911年に京都・六角通りにて創業した桜井商店の事業としてスタートしました。創業初期から取り扱っていた名刺や年賀状などの紙製品に箔押しを施すことから始まり、挨拶状の文化が拡がりを増していく中で多くの商品を開発しながら技術を高めてきました。
#01
ROKKAKU StoryROKKAKU 技巧とデザインのクロニクル vol.1
〈ブランド誕生から独自性の追求まで〉
鮮やかな煌めき、複雑な凹凸、細やかな質感によって、絵柄を表現する伝統技術の箔押し。
金や銀をはじめとした箔を、模様のついた版を通して熱と圧力で転写することで、紙の上を華やかに彩ります。技術自体は古くから受け継がれているものですが、箔の種類や組み合わせ、版のデザインによって表現の幅は無数に拡がり続けています。
京都・六角通りで生まれてから100年以上続く箔押しブランド「ROKKAKU」は、長い年月の中で技術やデザインの試行錯誤を重ねてきました。
これまでに生み出した200点を超えるプロダクトの一部とともに、その歴史をご紹介します。
Index
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01
ROKKAKUブランドの始まり
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02
祝いのシーンを最大限に彩る、表現の追求
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03
ROKKAKUらしさを表現したオリジナル商品
ROKKAKUブランドの始まり
その後、グリーティングカードやウェディングツールといった領域にも商品展開を広げ、需要も拡大。2000年代に入ると創業の地である京都・六角通りに直営店をオープンします。
店舗を構えたことは、さまざまな箔押しを一望できる場の提供にもなり、箔押しのさらなる可能性を探るべく表現や技術をより深く追求するように。あらゆる試行錯誤を経て生まれたオリジナル商品は幅が広く、現在の多様なラインナップにつながっていくこととなりました。
祝いのシーンを最大限に彩る、表現の追求
▶︎箔のみで絵柄を表現 「全面箔押しご祝儀袋」
立ち上げから2000年初期まで、年賀状や季節の挨拶状をメイン商品として技術を高めてきたROKKAKU。長年培ってきた技術を活かして、これまでにない表現の開発を試みます。そうして誕生したのが、『箔押しご祝儀袋』です。
それまでは通常のインク印刷された絵柄に部分的に箔押しをほどこす表現が主流で、箔の種類も一色のみ。しかしこの商品では、複数の箔を組み合わせて、絵柄全体を箔のみで表現することに挑戦しました。
箔押しは箔の種類ごとに版を分ける必要があり、版が増えるとプレス回数が増えるだけでなく、版同士がずれないよう手作業で調整をしなければならないため、難易度が格段に上がります。
そうした長い工程と精密な技術を要すため、コストや効率面でのリスクはあるものの、手触りや質感がもたらされることで、絵柄に一段と魅力が増します。箔押しのみによって表現された絵柄は、シンプルでありながら水引きがなくとも華やかな印象があり、これまでにないご祝儀袋となりました。
全面箔押しのご祝儀袋は多くの反響を得て、ROKKAKUの代表商品に。こうして全面箔押しの技術は、バースデーカードやポチ袋などにも展開を拡げていくこととなりました。
▶︎特別な日だからこそ想いを伝える 「誕生日グリーティングカード」
新たな表現に挑戦した商品開発だけでなく、定番商品についてもより箔押しを活かしたものへと見直していきました。
定番商品の中でもバースデーカードは、ROKKAKUの歴史の中で長く展開を続けているアイテムです。バースデーカードといえばお祝いのメッセージを伝えるものですが、ROKKAKUでは『誕生日グリーティングカード』と名付けて、誕生日を祝うだけでなく、相手にとっての特別な節目だからこそ、日頃の感謝や想いを伝えるツールとして提案するものとしました。
デザインは、贈る人の思いを主役として引き立たせるために、箔押しは敢えてワンポイントサイズに留めてささやかに彩るかたちに。また、箔押しだけでなく封筒用紙も上質な素材にこだわることで、手紙を受け取る瞬間とカードを取り出す瞬間の二度喜んでもらえる仕様にしました。
メールや電話など誕生日を祝う手段はいくつもありますが、手書きでメッセージを贈ること/受け取ることでしか得られない豊かさがあります。そうしたかけがえのない瞬間を最大限に彩ることができるよう、現在もさまざまなアプローチで検討しています。
▶︎年中いつでも使用できる 「ポチ袋」
その他にも『ポチ袋』においては、その使用シーンを広く捉えて、定番であるお正月以外でも使えるデザイン展開を行いました。
デザインにあたっては、社内アンケートを実施し、営業や製造といったさまざまな立場の社員からの意見を募るとともに、店舗でのお客様の声を取り入れながら方向性をチューニング。人それぞれが持つ「気持ちを贈りたい」と思う場面をヒアリングしながら、ポチ袋のあり方を見直していきました。
ポチ袋は手のひらサイズの小さな商品ですが、そこに込められた気持ちがしっかり彩りを持って見えるように全面箔押しによって贅沢に表現。デザインモチーフは、和柄だけでなくヨーロッパの街並みをイメージしたものなど洋風のテイストも取り入れることで、箔押しが活きるモチーフの幅を広げていきました。
ROKKAKUらしさを表現したオリジナル商品
▶︎メッセージを受け取るシーンにより驚きと喜びを添える 「ROKKAKU CARD」
商品展開を広げていく中で、ROKKAKUらしさを表現したオリジナル商品の開発にも着手していきます。
『ROKKAKU CARD』は、その名の通り六角形のメッセージカードで、形状のユニークさにワンポイントの箔押しを施した商品です。元々封筒業を営んでいたこともあり、六角形の封筒にもこだわり、メッセージを受け取るシーンに驚きと喜びを添えるギミックを取り入れました。
このROKKAKU CARDは、他のブランドにはないROKKAKUらしい商品となりロングセラーに。六角という形とワンポイントのモチーフという基本の形を継承しながら、用紙やデザインのバリエーションを増やしたり、より使いやすく、かつ箔を楽しみやすくできるようアップデートを続けています。
封筒に入っていても箔押しが楽しめるよう、封筒自体をくりぬき加工。
▶︎京都・六角通りに根付いた「京都モチーフ商品」
ROKKAKUの名前にちなんだ商品の他にも、京都・六角通りにて創業したというブランドアイデンティティを体現すべく、「京都」を冠にした商品を展開。
四季折々の京都の情景や京友禅、京菓子など、伝統柄からモダンテイストまで幅広いデザインで京都を表現する商品を生み出していきました。
京都モチーフの商品は、京都・六角通りの店舗にて観光客向けのお土産として親しまれ、これまで培ってきた箔押しの技術がさまざまなデザインを通して手に渡っていくことに繋がりました。